今回はDJプレイにおける「TONE PLAY(トーンプレイ)」という技術について簡単にご紹介します。
これまでバトルDJ系の記事をいくつか紹介してきました。
どれも共通して説明しているのが「Scratch(スクラッチ)」や「Beat Juggling(ビートジャグリング)」という技術が基本となり、その2つの技術を軸にルーティンを構成していくということ。
さらに現在では「DVS」というPCなどに入っているデジタルオーディオファイルの再生をアナログ用のターンテーブルで物理的に操作を可能にしたDJのスタイルが主流化しております。
パソコンを専用のインターフェースと繋ぎ、DVSの技術を使ったDJのことをPCDJと呼んだりします。このPCDJの登場によりDJプレイの幅がグッと広がったお陰でバトルDJに新たな技法がルーティンに組み込まれるようになりました。
その中の1つが「トーンプレイ」という技術です。
アナログレコードではスキルの高いDJにしかなかなか生み出すことが出来なかったトーンプレイをPCDJが普及したことにより、割と一般的な技術として今では様々なDJが取り入れるようになりました。
トーンプレイとは?
2019年に10周年を迎えたRed Bull主催のRed Bull 3Style(レッドブルスリースタイル)というDJの大会でトーンプレイは多くのDJが披露するようになりました。
Red Bull 3Style World DJ Championship
出典:pointed.jp
PCDJのソフト内には「CUE(キュー)ポイント」という曲に印を付ける機能があります。
このCUEポイントをあらかじめPCのキーボードのボタンや外付けの専用パッドコントローラーに割り当てておくことで、曲を流している最中にCUEポイントを記憶させたボタンを押すことで瞬時に曲を好きな場所へ戻したり進めたりすることができできます。曲をショートカットしたりする際にも使われます。
パッドコントローラーはこんなやつ↑の事です。
このCUEポイントを使って曲を“弾く”行為がトーンプレイと呼ばれる技術です。
トーンプレイの基本的な流れ
基本的なトーンプレイの流れとしては、例えば「A」という曲をかけていて「A」にいくつかCUEポイントをあらかじめ設定しておきます。
この「A」という曲を流している途中で「A」に記憶させたキューポイントを使って、今度は「B」という違う曲のメロディを演奏します。
ある程度「B」の曲が演奏できたところで本物の「B」の曲に繋げるというイメージです。
実際のトーンプレイ動画
DJについて詳しくない方からすると何を言っているのかさっぱりだと思うので、百聞は一見に如かずということで早速動画をご覧いただきましょう。笑
DJ Trentinoによるトーンプレイ
(動画は30秒辺りから始まります。)
お分かり頂けたでしょうか。上の動画ではターンテーブルの手前側に装着された「Dicer(ダイサー)」というパッドコントローラーに曲のキューポイントを記憶させ、そのパッドで後半の曲を弾いた後に繋ぐということをしてます。
DICER – novation(ノベーション)
出典:soundhouse
こういったコントローラーにキューポイントを記憶させピアノを弾くように演奏しながら曲を繋いでいくのがトーンプレイです。もちろんダイサーじゃなくても他のMIDIコントローラーを使ってトーンプレイをすることも可能です。
Martin Plan Bによるトーンプレイ
(こちらも30秒辺りから始まります。)
こちらの動画で使われているのはPioneer DJのDJM-S9というDJミキサーで、ミキサー内にCUEパッドが標準装備されているタイプなので、この場合はMIDIコントローラーを別途買わなくてもトーンプレイができてしまいます。
DJM-S9 – Pioneer DJ
北海道を代表するDJ TAMAさんのトーンプレイ
こちらも同じくDJM-S9を使用してます。
DJ Strike Oneのトーンプレイ
DJ Strike Oneが使っているのはPioneer DJから出ているDDJ-SP1というパッドコントローラーです。
DDJ-SP1 – Pioneer DJ
アナログレコードを使った神業トーンプレイ
DVSが普及する以前もトーンプレイの技術は一応あってごく限られた高度な技術を持ったDJだけがプレイに取り込んでおり大会で披露してました。その中でもバトルDJとして活動されている方なら誰もが知っているであろう日本のDJ Bluさんのアナログ神業トーンプレイを是非ご覧ください。
DVSのようにキューポイントを機械に記憶させることが出来ないため、アナログレコードでトーンプレイをするには針を的確にレコードに落として演奏する技術が必要になるので、相当高度な技術になります。まさに神業の領域です。
ということでトーンプレイの紹介でした。機材の発展は著しいもので、5年後10年後にはまた新たな技術が生まれてそうな気がしますね。
機材の発展によってDJプレイの幅は広がってますが、これからもしバトルDJを目指すのであれば、冒頭で書いたように基本は「スクラッチ」や「ビートジャグリング」といった技術を優先して練習すべきなので、トーンプレイはあくまでもDJプレイの技術の1つとして今回は頭の片隅に置いておくだけで大丈夫です。