nekuradjです。
更新頻度が悪く申し訳ありません。言い訳ですが、仕事が繁忙期なもので・・・。今後も長い目で見守っていただけると幸いです。
さて、ヒップホップという音楽ジャンルには欠かせないブレイクビーツとは、皆さんご存知でしょうか。
なんとなく聞いたことはある。けど、何のことかハッキリ分からない。
分かっている気はするけど、説明しろと言われると上手く説明ができる気がしない・・・。
そんな方のために、今回はこのブレイクビーツとは一体何のことを言ってて、どうやって始まったのかなど起源や、有名なブレイクビーツをいくつかご紹介したいと思います。
全く難しい話ではありませんのでぜひ今日覚えてもらって、明日から周りに堂々とブレイクビーツの話が出来るようになりましょう。
ブレイクビーツとは?
本来ブレイクビーツの解釈は1つなのですが、ヒップホップが流行し始めてからは個人的に何となく2つに大きく解釈が別れているような気がするので、まずその2つの解釈の違いを簡単に説明したいと思います。
まずは1つめ(本来の解釈)ですが、現在世界中に存在する曲のほとんどは曲中に「ブレイク」と呼ばれる部分があります。わかりやすく言えば、曲の間奏のような部分のことを言います。
サビが歌い終わって、2番目の歌い出しがくる前に歌の無い(音だけ流れる)部分があったりしますよね?音数が少なくなって、曲によっては落ち着く部分だったりまたはドラムが激しく打ち鳴らされたり。そこがその曲の「ブレイク」部分だと思って下さい。
1970年代のヒップホップ黎明期にヒップホップを最初にやったと言われ「DJの父」の異名を持つDJクール・ハークという人物が初めて「ブレイクビーツ」を編み出しました。
クール・ハークは当時DJプレイの最中「この曲は、みんなが共通して好きな曲であることに間違いないが、実際に盛り上がっているのはその曲の “ある一部分” であって、みんなその部分がかかるのを待っている。」ということに気が付きます。
その “ある一部分”というのが、曲中の「ブレイク」と呼ばれる歌のないドラムが激しく打ち鳴らされるようなパートの事でした。曲によっては、それが曲の間の部分にあったり、後半部分にあったり、はたまたイントロの部分であったりと様々です。
ただし、ブレイクの部分はほとんどの曲が数秒しかないものが多くその数秒間だけお客さんが熱狂的に盛り上がって、ブレイク部分が終わるとまた落ち着いてしまう。という現象が起きます。
この盛り上がるパートを何とか長く保たせようと、クール・ハークは同じレコードを2枚使い、ブレイク部分が終わるタイミングでもう片方の同じレコードのブレイク部分をスタートさせる。というテクニックを披露し場を盛り上げることに成功しました。
これによって1曲に数秒しか入っていなかったブレイク部分を永遠にかけ続けることができるという、当時のDJにとって革命的な新しい技術として高く評価されました。
これが「ブレイクビーツ」の元の解釈です。
ブレイクビーツを編み出したDJの父クール・ハークに関する内容の記事は以前書きましたので、お時間ある方はぜひ一緒にチェックしてみてください。
そして2つめの解釈ですが、作曲する際の技法としての「ブレイクビーツ」があります。
ブレイクとは直訳すると「壊す」という意味があります。
簡単に説明すると、ある曲を壊して(分解して)、新たに組み直して作られた曲のことも「ブレイクビーツ」と言います。
打ち込み系で曲を作る際にこの技法で作曲される方が多いと思われます。
どちらもヒップホップの音楽には欠かせない技法ではありますが、元々のブレイクビーツとは、お客さんの熱狂するブレイクの部分をひたすらかけ続けるということろから始まっているので、2つめの曲を分解するという解釈とは少し違うのが分かると思います。
ブレイクビーツ至上主義時代
ここでは1つめの解釈の延長でお話させてもらいます。
1970年代、クール・ハークのブレイクビーツを駆使したプレイが後の色々なDJに影響を与えており、周辺のDJもクール・ハークのプレイを真似るDJがどんどん増えていき、次第に自分しか持っていないレコードからかっこいいブレイクを探すというのがブームが起きます。
そりゃそうですよね。毎回定番化したブレイクビーツが流れても次第にお客さんは飽きてきてしまいますし、新しいブレイクを求めるのは自然な流れです。
俺こんなブレイク見つけたぜ!的な自分のレコードコレクションから他のDJがまだ知らないであろうカッコいいブレイクを見つけて披露するというのが流行り出します。
そんな中、カッコいい(イケてる)ブレイクを見つけるのが得意だったのがアフリカ・バンバータという人物でした。
元は「ブラックスペーズ」というニューヨーク最大のギャング団の大幹部でありましたが、それと合わせて親の影響で非常に豊富なレコードコレクションがあり、他のDJには真似できないプレイができたのがアフリカ・バンバータでした。
当時はジェームス・ブラウンなどのファンク系の音楽からブレイクを引っ張るのが定番でしたが、アフリカ・バンバータは所有しているレコードの豊富さゆえに別なジャンルからもイケてるブレイクを探すのが得意なDJでした。
アフリカ・バンバータについても、以前記事にしておりますのでお時間あれば合わせてご覧ください。
有名なブレイクビーツ音源
ここでは、クール・ハークのパーティで流行っていて、かつ現代でも多用されているブレイクビーツをいくつかご紹介します。
先述したように最初は、ジェームス・ブラウンの曲からブレイク部分を引っ張るのが定番でした。最初はこんな曲が流行っていたそうです。
ジェームス・ブラウン/Funky President(1974)
この曲はイントロの6秒間くらいの部分をひたすらループさせて盛り上げてたそうです。
そして、クール・ハークの主催するパーティで定番ナンバーとなっていたのがこの曲。
ボビー・バード/I Know You Got Soul(1971)
聴いたことがある人も多いのでは無いでしょうか。Eric B. & Rakimがこの曲をサンプリングしたのも有名です。
Eric B. & Rakim/I Know You Got Soul(1987)
(サンプリングがわかりやすいように1:04頃からスタートします。)
そして次第にジェームス・ブラウンとは関係なくカッコいいレアな曲も探していきます。
ハニー・ドリッパーズ/Impeach The President(1973)
もうこれはヒップホップファンであれば、確実にどこかで聴いたことがあるはず。
そして、きわめつけはコレ。
インクレディブル・ボンゴ・バンド/Apache(1972)
ヒップホップの国家とも言われるほどの有名な曲です。
こうしてクール・ハークのパーティは評判を呼び、周囲のDJもこれを真似るようになっていきます。
アフリカ・バンバータはビートルズの曲なんかでもブレイクビーツを披露していたとか・・・
ディグる(Digる)行為の始まり
おまけ的な話ですが、こういった時代の流れがあったことで他のDJが持っていない、自分だけのイケてるブレイクを探すため1ドルで投げ売りされていたような中古レコード屋が人気となり、その山積みされた大量の中古レコードから使えそうなブレイク部分を探す行為に当時のDJは勤しみ、その行為をレコードを「掘る」という意味で「ディグ(Dig)る」という言葉が出来上がったと言われております。
ということで、ブレイクビーツの意味はなんとなくお分かりいただけたでしょうか。
あらゆるジャンルの音楽のイケてると思う部分を断片的かつ無作為に使うというのが特徴の音楽ですね。
曲中のカッコいい部分だけ抜き取るという潔さもヒップホップらしいのかなと思ったりします。笑
当時のクール・ハークやアフリカ・バンバータのパーティで定番化されたブレイクビーツは後に「Ultimate Breaks & Beats」というオムニバス盤にまとめられておりますので気になるかたは是非聴いてみてください。
Ultimate Breaks & Beats Vol.1(Side A)
Ultimate Breaks & Beats Vol.1(Side B)
それでは今回はこのへんで。
最後までご覧いただきありがとうございました。