nekuradjです。
今回はヒップホップ用語についてラップの歌詞や、ラッパーやDJなどヒップホップ好きな人たちの会話の中でよく出てくる用語をまとめてみました。
以前、ヒップホップ用語に関する記事はいくつか上げておりますがネットで「ヒップホップ用語」と検索すると、ほとんどのサイトがアルファベット順や五十音順で紹介されてることが多いなと思ったので、ここでは「シーン別」にして場面ごとに用語をまとめる形式でヒップホップファンの日常に出てくる用語を紹介していこうと思います。
どのカテゴリーにおいてもそうですが、ヒップホップ用語とかスラングっていうのは日々更新されていきます。
その時代の人気ラッパーが新しいスラングを使い始めるとすぐにファンの間で広まり、つい数ヶ月前に流行っていた言葉は「古い」と考えられて死語扱いされることが多いです。
日本の流行語とかもそうですよね。去年流行っていた言葉も今聞くともう既に古いとか若者の間で日々流行語は移り変わります。
今は2020年で「ワンチーム」とか「バズる」とか日常的にみんな使ってますが、きっと来年の今頃はもっと新しい言葉が流行っていることでしょう。
そんな中でも完全に確立していて不動のヒップホップ用語を今回紹介していきたいと思います。
音楽(や歌詞)を評価するときに使われる用語
ラップの歌詞(リリック)や曲(トラック)を評価したりするときに使われる用語を紹介します。
クラシック(Classic)
クラシックと聞くとベートーヴェンやバッハなどが演奏した音楽を思い浮かべる人も多いと思いますが、意味は一緒です。
Classic(クラシック)は直訳すると「一流の」とか「最高水準」という意味です。
ベートーヴェンの交響曲第5番(運命)なんて200年以上前に演奏された曲なのに、現代でも色々な場所で流れていたり、どこで知ったか覚えてないけどなんとなくみんな知ってる。耳に残っている曲ですよね。
それと同じように、ヒップホップにおける「クラシック」もいわゆる「何年経っても聴き続けることが出来る名曲」という意味で使われます。
○○○といえばこの曲だよね〜!とか
○○○の曲はいつ聴いてもカッケーな!
とかそんな曲がクラシックと呼ばれるものです。
ドープ(Dope)、イル(ill)
続いては「ドープ」や「イル」という言葉。なんとなくどこかで聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。おそらく、これこそヒップホップ用語!と言っていいでしょう。
ドープ(Dope)という言葉は、元は薬などを使用した際に使われる「ドーピング(Doping)」が語源になっているそうです。
イル(ill)は直訳すると「病的な」とか「不吉な」みたいな意味です。
なんだか悪いイメージが先行してしまいそうですがヒップホップ的に解釈すると抽象的ではありますがこれは良い意味で「ヤバイ」という評価をするときに使われます。
ヒップホップは元はアンダーグラウンド(地下とか影の存在)から始まった音楽で、パーティ系でアッパーな曲とは一線を画するジャンルの音楽ですので、そういった意味でも不穏な雰囲気の曲というか太いビートで重低音がガンガン目立つような音楽が評価されたりします。
ちょっと分かりにくい。という人がいたら申し訳ないので、自分的に「イル」で「ドープ」なヒップホップの曲をいくつか紹介します。
Nas/Halftime(1994)
言わずと知れた、ナズ(Nas)のデビュー作です。これはヒップホップファンであれば誰もが認める「イル」で「ドープ」でかつ「クラシック」な曲でしょう。ナズ(Nas)に関しては以前記事にしておりますのでお時間ある方は是非ご覧ください。
The Notorious B.I.G./Unbelievable(1994)
これも定番中の定番と言える一曲です。今は亡きビギー(Biggie)の名曲です。
この曲(トラック)はヒップホップ界では知らない人はいないDJプレミア(DJ Premiere)がプロデュースした曲です。DJプレミアに関する記事も以前書いておりますのでお時間あればご覧ください。
WU-TANG CLAN/C.R.E.A.M.(1993)
これもまた「イル」で「ドープ」な「クラシック」認定必須の名曲。
総体不明な大除隊でデビュー当時、世界中が衝撃を受けた圧巻のラップグループです。全員キャラが立っていて当時はこのグループにかなうグループはこの先出てこないのでは?とまで言われた最強のラップグループです。
という事で少し長くなりましたが「ドープ」や「イル」の雰囲気はなんとなくお分かり頂けたでしょうか。
チル(Chill)
チル(Chill)は、先ほどの「ドープ」や「イル」とは真逆のような世界の音楽を指す言葉です。
直訳すると「冷やす」という意味ですが形容詞としては「落ち着く」や「のんびりした」という意味を持ちます。
つまり聴いていて落ち着く曲のことを「チル系」や「チルってる」なんかと言ったりするイメージでしょうか。これもイメージしやすい曲をいくつか紹介します。
Nujabes/Reflection Eternal(2005)
こちらも今は亡きヌジャベス(Nujabes)氏のクラシック曲です。哀愁漂う、聴いてて泣きそうにもなる一曲です。
最近では、Lo-Fi HipHop(ローファイヒップホップ)をチル系音楽と呼ぶことも多いですが、ローファイヒップホップも元々は子供の頃ヌジャベスを聴いて育った人たちが作ったジャンルとも言われているので、ヌジャベスがチル系音楽のパイオニアといっても過言ではないと思います。
もう最近ではヌジャベスを知らないヒップホップリスナーも増えてきている時代ですので言っておきますがヌジャベスは日本人です。日本を代表する世界的なヒップホップのトラックメイカーです。ローファイヒップホップについても以前記事にしておりますので良ければご覧ください。
B.I.G. JOE/War Is Over(2010)[Produced By MICHITA]
自分は札幌在住なので、北海道のプロデューサーを紹介させてください。
ミチタ(MICHITA)さんというトラックメイカーの曲(トラック)も非常にリラックスできる曲が多いことで有名です。
この曲は同じく北海道出身のラッパービッグ・ジョー(B.I.G. JOE)のアルバム「RIZE AGAIN」に入っている一曲なのですが、ピアノが印象的な美しい楽曲です。
Sweet Willam/Walkin(2017)
ここ2〜3年で一気に有名になった愛知県出身のSweet William(スウィート・ウィリアム)氏
沖縄県出身の唾奇との名合作「Jasmine(ジャスミン)」でも有名な日本を代表するトラックメイカーです。
このWalkinという曲も唾奇のラップが入ったバージョンがあり、2018年にJ-PWOERグループ(発電所やダムの設計や施工のエンジニアリングを提供する会社)とコラボした「絶景発電所」シリーズにもタイアップされています。
イメージにピッタリな感じはしますよね。
ということで「チル」の紹介でした。
パンチライン
これまでは主に曲(トラック)を評価する用語でしたが「パンチライン」とはラッパーの歌詞で特にカッコいい(イケてる)リリック(歌詞)を評価するときに使われる用語です。
イメージとしては、言い回しや巧みな比喩表現などに対して使われるパターンや、日常生活の中で多くのリスナーが考えていることなどを上手く音楽(リリック)に落とし込んだときなどに「パンチライン」という言葉が使われるイメージです。
これはもう個人的な感覚で左右される部分なので人によってパンチラインは様々だと思います。
ハードコアラップの熱いリリックが好きな人のパンチラインだったり、何気ない日常のことを歌ってて「うわーそれ分かるわー!」的な代弁されたときに受ける衝撃がパンチラインになったり・・・。
自分はどちらかというと熱い気持ちが込められたリリックが好きで胸が熱くなるようなリリックは聴いてて自分も頑張ろうと思えます。
特にSEEDA(シーダ)というラッパーが好きで「自由の詩」という曲で
目の前の俺をよく見てくれ、天才などでもなんでもねぇ。
明日もしもチャンスがあったら掴んだら離さない。次は無い。
あと同じくSEEDAの「Daydreaming」では
たくさんのhoより一人のパートナー
コネクションの多さより信用ある仲間
アクションの多さより確信つく力
カッコいいラップはたくさんありますが、自分はこういう自分に言い聞かせてやる気に変えられるようなリリックが好きですね。
という事で「クラシック」「ドープ」「イル」「チル」「パンチライン」と5つヒップホップ用語を紹介させていただきました。
どれもヒップホップファンからすると当たり前な言葉ばかりですので、ヒップホップ初心者の方はまずはこの用語は押さえておけば間違いないでしょう。
説明文がちょっと長くなってきたので今回はこれで一旦締めさせていただきたいと思います。
「親友や仲間に使う用語」
「悪い意味で使われる用語」
「挨拶や感謝の意味で使われる用語」
etc…
次回以降、また別な場面で使えるヒップホップ用語をご紹介していきたいと思います。
それでは今回はこのへんで。
最後までご覧いただきありがとうございます。