nekuradjです。
今回はタイトル通り、スクラッチ音の出し方(鳴らし方)をご紹介します。なぜこんな記事を書こうと思ったかと言いますと…スクラッチを知らない人に「スクラッチをやる。」って話をすると大抵の人って
レコードをジュクジュクするやつだろ?
的な反応が返ってきます。確かにそれもあるんですけど、実はスクラッチって物凄く奥深くて、「ジュクジュク」だけじゃないんですよ。レコードを前後に動かして「ジュクジュク」やるだけなら、ぶっちゃけ誰にでも出来るじゃないですか。赤ちゃんでもできますよね。
スクラッチを得意とするDJ(以下:スクラッチャー)は、たぶんこのあたりの説明って、毎度面倒臭がって「ジュクジュク」以上の説明ってあんまり深くしてないと思います。そもそも聞き手もそこまで求めていない場合が多いので、あまり熱く語ってしまうと逆に会話に温度差が生まれて変な雰囲気で話し終わるみたいな。笑
もし、スクラッチャーがそんな場面に出くわす瞬間があったら・・・
もし、スクラッチの原理がイマイチわかってない人がいたら・・・
完全初心者向けに書きましたので、この記事がお役に立てばと思っております。
ではさっそく、スクラッチ音の鳴らし方や原理について説明していきましょう。
スクラッチ音を出す第一歩「レコード側の手の動き」
まずは「レコード側の手の動き」について説明します。(いわゆる「ジュクジュク」する側の手の説明です。)
まず現代の「スクラッチ」というカテゴリーの説明をするとなれば、基本的に「両手を使うテクニックである。」と言えます。
乗っけから「え?スクラッチって片手でスクラッチするんじゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、スクラッチは基本的に両手を使います。もちろん片手だけで成立するものもありますが、何を言いたいかといいますと、後で説明しますが、スクラッチには現在多くの技があり、そのほとんどの技は両手を駆使しなければ出来ないという事実です。
スクラッチが広まった初期の頃(グランドマスター・ラッシュらが活躍していた時期)は単純に素人の人たちが思うような「ジュクジュク」したスクラッチが中心となって流行っていたと思いますが、そんな時代から30年近く経ってますので、DJの進化と共にスクラッチも日々アップデートを続けているわけです。
なので「スクラッチは両手を使う」ということをまずは知ってください。それを踏まえてまずはレコード側の手の説明をします。
レコードの上に手を置いて前後に動かす。これが一般的なスクラッチのイメージでしょう。これをやることで、イメージ通り「ジュクジュク」と音が鳴ります。先ほどスクラッチには多くの技が存在すると言いましたが、この単純な前後の動きにも技の名前が付けられてます。
レコードをただ前後に動かした時に鳴る音は「Baby Scratch(ベイビースクラッチ)」と呼ばれ、文字通り赤ちゃんでも出来るスクラッチと言う意味で付けられた技名です。赤ちゃんでも出来るイコール誰でも出来る。って意味です。素人が聞いてくる「ジュクジュクするやつでしょ?」という質問は大概がこのベイビースクラッチのことを指していることになります。
じゅうぶん想像出来ると思いますが、念のためベイビースクラッチの動画も見てみましょう。
想像通りですね。
スクラッチ音を出す第一歩「フェーダー側の手の動き」
まず素人の方は「フェーダーって?」ってなりますよね。DJ未経験者に対してスクラッチの難しさを説明するのにいちばん苦労するのがココです。動画などを使って頑張って説明します。
さて、レコード側の手を前後に動かして「ジュクジュク」やるのに対して、もう片方の手はスクラッチ中に何をやっているのでしょう。
以下「CHIRP(チャープ)」という技の動画ですが、ここではレコード側の手ではなく、もう片方(画面左側)の手にぜひ注目して見てください。
どうでしょうか。
“何か”を指で摘んで左右に動かしている。そこに気付きますよね。この摘んでいる “何か”とはDJミキサーの「クロスフェーダー」という部分です。
クロスフェーダー(以下:フェーダー )とは、左右のターンテーブルの音を切り替えるための部分で、動画のように右側にフェーダーを持っていくと右のターンテーブルの音(動画でいうスクラッチの音)が流れて、左にフェーダーを持っていくと左のターンテーブルの音が流れる仕組みです。この音を消したり出したりするフェーダーの役割とレコードの前後の動きと組み合わせることで、音の出方が変わり、それぞれに技の名前が付けられているのです。
スクラッチの音が出ない状態(レコードを擦る側のターンテーブルの反対側にフェーダーを持っていくこと)を「音を “切る” 」と言ったりします。スクラッチャーのDJネームには「KUT」とか「KUTS」や「KUTTIN’」とか “切る”に関係する言葉がよく使われていたりします。
クロスフェーダーについては、DJミキサーに関する過去の記事でもう少し詳しく説明したものがありますので、詳しく知りたい方は合わせてご覧ください。
実はスクラッチの上手い下手って、クロスフェーダーの使い方がけっこう肝になるんですよね。レコード側の手の動きとフェーダー側の手の動きのコンビネーションによって、何通りもの技が出せるんです。(もちろんレコード側の擦りも重要ですけどね。)
スクラッチの基本技の紹介(3つ)
フェーダーの役割まである程度理解できれば、あとは実際にスクラッチをしているシーンを見てもらえれば、スクラッチの複雑さというか、難しさというか、奥深さが伝わりやすくなると思うので、ここで基本的なスクラッチ技を3つご紹介します。
チャープスクラッチ(Chirp Scratch)
先ほども紹介しましたが、レコードの前後の動きと、フェーダーの動きを組み合わせたスクラッチの超定番技です。チャープ(Chirp)とは英語で「鳥が鳴き出すこと」を意味する言葉で、チュンチュン(チキチキ)鳴ることからこの名前が付けられました。
フレアスクラッチ(Flare Scratch)
こちらも超定番技です。DJ FLARE(DJフレア)が編み出したことからこの名前が付けられています。レコード側の手が1回前後する間に、フェーダーが2回左右に動き合計4発の音が鳴る。という初心者にはちょっと難易度の高い技です。でも練習すればすぐ理解できます。
クラブスクラッチ(Crab Scratch)
(通常だと)薬指→中指→人差し指と順番に、3回連続でフェーダーを指で叩き、合計3つの音を連続で出す技です。クラブとはクラブハウスの「Club」ではなく 蟹(カニ)の「Crab」です。フェーダー側の手の動きが蟹(カニ)の足の動きに似ていることからこの名前が付けられました。
いかがでしょうか。なんとなくスクラッチがどうやって成り立っているのか、「ジュクジュク」する手の動きに加えてもう片方の手でフェーダーを巧みに操り、スクラッチの音を切ったり、入れたりすることで、何通りもの技があるというところが分かってもらえると嬉しいです。
次回はスクラッチの譜面の見方などを中心にレクチャーしたいと思います。
それでは今回はこのへんで。
最後までご覧いただきありがとうございました。