nekuradjです。
ヒップホップの音楽をあまり聴いてこなかった人に
ヒップホップの面白さや文化の話をすると、、、
じゃあ、誰がオススメなの〜?
みたいな質問がよくあります。そんな質問者さんのために、自分の独断ではありますがこのアーティストの音源はまず聴いておけば間違いないよ。っていう紹介をしたいと思います。
「間違いない」という言葉を自分なりに先に定義すると、ヒップホップの歴史上、このアーティスト(やグループ)
自分は高校生の時にヒップホップにハマりました。言っても当時は2005〜6年くらいで、
その中でオールドスクールから現代までのヒップホップリスナーであれば誰もが知る伝説的な【ヒップホップデュオ】を今回は紹介します。
今回紹介するのは、、、
GANG STARR(ギャング・スター)です。
第一弾は正直いろんなアーティストで迷いましたが、昨年16年ぶりとなるニューアルバムをリリースし筆者自身、改めて「間違いないな」
GANG STARRとは?出身地やメンバー構成等
Gang Starr(ギャング・スター)
メンバー
・GURU(グールー) ※写真右
本名:Keith Edward Elam(キース・エドワード・イーラム)
名前の由来はGiftedUnlimitedRhymesUniversalから。
・DJ Premiere(DJプレミア) ※写真左
本名:Christopher Martin(クリストファー・マーティン)
アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンにて結成。
DJ Premiereは初期メンバーではなく、85年頃からGURUがMARK THE 45 KINGというプロデューサーの元で数枚のレコードをWild Pitch Records(レコード会社)からリリースしていました。(当時GURU以外にいたメンバーはDAMO D-SKI、DJ WANNA BE DOWN等)
Wild Pitch Records(ワイルド・ピッチ・レコーズ)
出典:discogs.com
80年代後期、Wild Pitch Records宛てにテキサス州で活動していた「Inner Circle Posse(インナー・サークル・ポッシ)」というグループからデモテープが送りつけられます。
そのデモテープを聴いたGURUは「ラップはイマイチだけど、トラックが超イケてる」
加入当時、Wild Pitchの社長に「もう少し覚えやすい名前にしよう」
GANG STARRサウンドの魅力
GANG STARの魅力は、ラッパーGURUの声の質感とライミング、フロウ。そしてなんと言ってもGURUが認めた部分でもあるDJ Premiereが手掛けるトラックの才能でしょう。
特に日本人は英語がわからない人も多いため、どちらかと言えば「トラック重視」でヒップホップを聴く人は多いと思います。そういった意味でもDJ Premiereのトラックは自然とカッコよさが伝わるという部分で評価が高いのが事実です。
DJ Premiereのトラックって何がスゴイの?
それは、ヒップホップには欠かせないトラックメイクの技術である「サンプリング」の才能にあります。
一部のリスナーからはサンプリングは著作権の問題などで非難
とにかくDJプレミアは、サンプリングの技術が秀逸で、サンプリングするネタを選ぶセンスはもちろん、そのネタを細かく刻み、その刻んだネタをバラバラに分解し組み替える「チョップアンドフリップ」という技法に長けており、全く新しいフレーズを作り出す天才プロデューサーと言えます。
ほんの一部分の抜粋で作り上げたトラックとしてGang Starrの代表作といえばこちらでしょう。
Mass Appeal / GANG STARR(1994)
GANG STARRの中でも最もヒットしたと言われる「Mass Appeal」という曲です。
その元ネタ(サンプリングされた曲)となったのがこちら。
Horizon Drive / Vic Juris
全体で6分半くらいある曲なので、どこをサンプリングしたかわかりにくいと思いますが、、、
3分29秒 ←ここだけ注目して聴いてみてください。
サンプリングされたのは、この1秒間だけです。
この1秒間だけをピッチ(速度)を落としてループさせ作った曲がMass Appealです。たった1秒の抜粋でここまでカッコいいトラックを作れるのがDJ Premiereの才能です。
DJ Premiereのサンプリング技術はデビュー後すぐに評価され、Gang StarrはもとよりJAY-ZやNas、The Notorious B.I.G.など、他にもジャンルを越えR&Bのアーティストの曲までリミックスを手がけており、の手がけた曲ほぼ全てが「クラシックだ!」と言われるくらい天才的な才能を発揮しております。
※クラシックとは、
GANG STARR代表作集
そんなGang Starrの魅力が詰まった代表作をサンプリング元となったネタと合わせていくつかご紹介します。
Jazz Thing / GANG STARR(1990)
スパイク・リー監督の「Mo better Blues」のサントラとしても有名な1曲です。
【Jazz Thingの元ネタ】
Step In The Arena / GANG STARR(1990)
Gang Starrの出世作ともなったセカンドアルバムからの1曲
【Step In The Arenaの元ネタ】
Code Of The Street / GANG STARR(1994)
4thアルバム「Hard To Earn」からの1曲。筆者はこのダークなトラック超好き。
【Code Of The Streetsの元ネタ】
Full Clip / GANG STARR(1999)
ベスト盤「Full Clip:A DECADE OF GANG STARR」から
BIG Lが99年に若くして凶弾に倒れた中でリリースされた1曲。
「BIG L REST IN PEACE」というPremiereのシャウトは
ヒップホップファンであれば知らぬ人はいないフレーズでしょう
【Full Clipの元ネタ】
Skills / GANG STARR(2003)
6枚目のアルバム「The Owners」からの1曲。
アルバムリリース前にリードシングルとしてプロモ盤が出回り
当時は相当話題だったとか。
【Skillsの元ネタ】
いかがでしょうか。ヒップホップを知る人であれば、どれも聴いたことのあるプレミア節がガッチリ入った楽曲です。どれもマジでカッコイイっす。
GANG STARR活動停止とGURUの死
デビュー後から驀進し続け、最強の伝説的ヒップホップデュオとなったGANG STARRでし
GURUはその時すでに新たなソロプロジェクトである「
Premiereも他のアーティストにトラックを提供する機会が増え、着実に天才プロデューサーとしての知名度を獲得していきます。
そんな個人の活動が目立っていき、Gang Starrとしての活動は2003年以降完全にス
その7年後、GURUが突如昏睡状態に陥り、手術を受けたとメディアが報じます。当時詳細は不明とされており、なんらかの癌で闘病していたという話が有力です。
このあたりの話は実は曖昧な部分が多く、
闘病中GURUがファンへ宛てた手紙というのも発表されておりましたが、ソラーや自分の家族を慕う内容の一方で、「元DJ(プレミアの事)
GURU自身は昏睡状態だったという噂もあったので、
そして、2010年4月19日にGURUは色々と謎を残したまま息を引き取ります。
ニュー・アルバム「One Of The Best Yet」
そんなGURUの死から9年の月日が経った2019年11月。
前作「The Ownerz」以来16年ぶりとなるニューアルバムが突如リリースされました。
Gang Starr – One Of The Best Yet
GURUのビジネスパートナーであったソラーから30曲分にもおよぶ
このアルバムにはリードシングルとなった「Family and Loyalty」でフューチャリングされたJ. Coleをはじめ、M.O.P.、Q-Tip、Group Home、Royce Da 5’9’’、Jeru The Damajaなど、90年代からの盟友たちが参加しており、
Gang Starr/Family and Loyalty feat. J.Cole(2019)
個人的にグッときたのは、やはりアルバムタイトルです。
「One Of The Best Yet」 =「まだ俺たちがベスト」
GANG STARRファンからしたら涙ものじゃないでしょうか。
険悪なムードとその不穏な雰囲気を残したままにせず、Premiereなりにピースを表現した作品になっているのかもしれませ
自分はきっとこのアルバムは惜しみなく何年も聴き続ける事になり
ということで独断ではありましたが、押さえるべきヒップホップアーティストをこんな感じでシリーズ化していきたいと思います。
それでは今回はこのへんで。
最後までご覧いただきありがとうございます。