nekuradjです。
なんとなく、ふと思いついた今回のテーマ。
ヒップホップを聴く(知る)上で、絶対に外せないラッパーっていますよね。ヒップホップリスナーであれば王道中の王道っていうか、このラッパーを知らずに「ヒップホップ聴いてる」なんて言えるの?みたいな。笑
でもその王道ラッパーがどこから来て、一番最初に世間に発信した音源ってどんなものなのか。ってところまで知ってる人ってなかなか物好きな人しかいない気がして。そういう有名ラッパーの初音源とか聴くと「あー最初はこんなフローだったんだ。」とか「最初は結構勢いあるラップの仕方だったんだなー。」とか今自分が聴いてる感じとは少し違った雰囲気が味わえたりするものですよね。
そんなことを考えた結果、今回は海外の有名ラッパー5人の初出し音源を掘り起こしてみることにしました。
その初音源のリリースにまつわる話も少しだけ交えながら初期作品をペタペタ貼っていきたいと思います。
筆者の個人的な意見ですが、どの音楽ジャンルにおいてもデビュー当時から聴いてるファンって大概「昔の方が良かった。」とか「最近の曲より昔の曲の方がカッコ良かった。」とか言ってる人。よく見かけないですか?笑
有名になったことでファンが増えてしまって、そこから嫉妬に近い感情が湧いてきてどうしてもマウントを取るような発言をしてる人って多いと思います。でも確かに昔の音源を聴いてみると「あ、こっちもカッコいいな。」ってなることも多いんですよね。そういう筆者の経験も元にいくつか有名ラッパーの初音源を紹介していきたいと思います。
2pac(トゥパック)
2pac
出典:hiphople.com
言わずと知れた、アメリカ西海岸を中心にカリスマラッパーとして活動していた2pac。1996年25歳という若さで凶弾に倒れこの世を去った後も、生々しいギャング出身の彼だからこそ書けるストリートの現実を描写したラップは多くのヒップホップファンに影響を与え、今なお評価され続けています。まさに伝説のラッパーです。
ヒップホップリスナーであれば、西海岸と東海岸の抗争は有名な話ですよね。この東西抗争を絡めて2pacの生涯を追った記事を以前アップしておりますので、もし興味がある方はこちらからご覧ください。
2pacは元々東海岸(ニューヨーク)で育つも高校を中退後、カリフォルニアに移住しラッパーとしてのキャリアを歩み始めます。そこでデジタル・アンダーグラウンド(以下:DU)というラップグループのオーディションに合格し、メンバーの一員となって本格的なキャリアをスタートさせます。
そして1991年、2pacがDUの一員として初めて世にラップを披露した音源がこちらです。
2pac特有の声色は健在ですが、なんとなくDUのポップさというかフランクな雰囲気も味わえて、これはこれでノリやすくてカッコイイと思います。(2pacのラップは2:19辺りから始まります。)
The Notorious B.I.G.(ノトーリアス B.I.G.)
The Notorious B.I.G.
2pacときたら次はやはりこの方でしょう。同じく東西抗争で最大の犠牲となった東海岸のラップキング、The Notorious B.I.G.ことBiggie Smalls(以下:Biggie)です。厳格な母親を持つも、2pacと同じく貧しいブロンクスのストリートで育ち、ドラッグディーラーとして、そしてラップキングとしてニューヨークに君臨した伝説のラッパーです。彼は2pacが亡くなった翌年(1997年)に同じく凶弾に倒れました。
Biggieに関する記事も以前取り上げておりますので、お時間あればこちらもご覧ください。(Biggieの生涯と東西抗争を絡めた内容にしてます。)
Biggieは元々フリースタイルラップ(即興でラップすること)でブロンクスを中心に評判を呼び、近所に住んでいたDJグランと共に録ったデモテープが後に所属するBad Boy RecordsのSean Combsに見出され、ラッパーとして本格的なキャリアが始まったと言われております。
そのデモテープ音源がこちら。
スタジオで録っているわけではないので、デモテープならではの音質が当時の雰囲気を際立たせます。これがヒップホップ誌「The Source」に取り上げられ、当時のヒップホップ界を大きく揺るがす存在となります。ただ正式な初音源ではないので、これとは別に初めてスタジオで録音された音源も紹介しておきます。
BiggieがSean Combsに見出され、初契約したUptown Recordsというレーベルで、初めてスタジオ録音したのがこのBuncha Niggasという曲です。この曲にはBusta RhymesやGuruなど、そうそうたる顔ぶれの中でレコードデビューを果たします。(Biggieのラップは1:49辺りから始まります。)
Biggieのデビュー曲「Party and Bullshit」もそうですが、初期の頃のBiggieのラップは結構勢いありますよね。
Nas(ナズ)
Nas
こちらも知らない人はいませんよね?Biggieと同じく東海岸(ブロンクス)生まれ、クイーンズのハウジングプロジェクト(アメリカ最大の低所得者用の公営団地)で育ったゲットー出身のカリスマラッパーです。
Nasに関するの記事も以前取り上げておりますので、ご興味ある方は是非こちらからご覧ください。
Nasの場合、運よく地元に有名なラッパーがあちこちにいたので、年上の兄貴分に付いて行けばそこそこ有名なラッパーやプロデューサーに会えたり話せたり接触する環境があったらしく、そこで出会ったLarge Professorに才能を買われラッパーとしてのキャリアをスタートさせることになります。
Nasが最初にラップを披露した音源がこちらです。
Large Professorが結成したMain Sourceのデビューアルバム「Breaking Atoms」からの1曲です。(Nasのラップは0:25辺りから始まります。)
Nasの枯れた声色はいつ聴いてもカッコいいですね。Nasはこのラップを録った時まだ16歳ですからね。それを聞くと余計に衝撃的なカッコよさを感じます。
JAY-Z(ジェイ・ジー)
JAY-Z
ヒップホップの大大大成功者。ヒップホップビジネスにおけるロールモデルとして「アメリカ音楽史上最も裕福なミュージシャン」としても知られるJAY-Z。ヒップホップの音楽を貧しい現実を世界に突きつけるための表現方法だけではなく、その格差を乗り越えビジネスチャンスとしてセレブへの道にもなり得ることを証明した世界的スターです。
彼は先述したBiggieやBusta Rhymesと同じGeorge Westinghouse Career and Technical Education高校出身で、学校ではよくフリースタイルをして仲間とラップのスキルを競い合っていたそうです。(大体がJAY-Zの圧勝だったとか。)
彼が初めてラップを録音したのは1989年、近所の公営団地に住んでいて既にラッパーとしてキャリアをスタートさせていたJaz-Oというラッパーに才能を見出され、そのJaz-Oの「The Originators」という曲にフューチャリングされたもが始まりでした。
うーん、JAY-Z若い!笑
声色は多少今の雰囲気があるものの、初々しさが半端ない。この当時Jaz-Oは地元ではそれなりに有名だったものの、業界としてはほぼ無名であったため、この曲自体はほとんど注目されず、散々な結果に終わってしまいました。その後もBig Daddy Kaneというラップスターに再び才能を見出されるも、ツアーに参加しラップを披露した際もなかなか観客には受け入れてもらえず、実はJAY-Zはなかなかの苦労人なのです。
高校で出会ったBiggieとはすぐに意気投合し、ラップで紆余曲折あったもののBiggieという親友もでき、変わらずラップのスキルを磨いていきます。97年にBiggieが亡くなったことでJAY-Zは非常にショックを受けますが、世間から「次はJAY-Zが頑張る番だ」と励まされ、その応援に応えることを決心し、見事ヒップホップ大スターへとのし上ることに成功したのでした。
と、間をだいぶはしょりましたが、今度時間があるときにJAY-Zについての記事は書きたいと思います。
Eminem(エミネム)
Eminem
はい、現代の超大物です。Eminemはヒップホップを聴かないって人でもけっこう知ってる人が多いですよね。それはもちろん「世界史上最も売れたアーティスト」にてラッパー史上最も売れた人物だからでしょう。なんてったって世界最高峰のラッパーと言われる存在ですから。JAY-Zに劣らないレベルで超ド級のヒップホップ大スターです。そしてエミネムといえば、自身の自伝映画でもある「8 Mile」も有名ですよね。度重なる転校で友達が出来ず、いじめにあい、自殺未遂までする過酷な状況の中、ラップ一本で成功するというサクセスストーリーが有名です。
Eminemともなればデビューに関して知ってる方も多いと思いますが、西海岸で2pacが所属していたレーベルDeath Row Recordsに同じく所属していたDr. DreがEminemの才能を見出し、Dreが脱退後に自身が立ち上げたレーベルAftermath EntertainmentにEminemを契約させ、1999年にリリースした「The Slim Shady」です。
しかしEminemはデビュー前に自主制作で「Infinite」というアルバムを96年にリリースしており、これがEminemの初音源と言われております。このアルバムは今となっては隠れた名盤として称賛されておりますが、当時は全く注目されずアルバムは売れず終いでした。その「Infinite」から筆者の好きな1曲をご紹介します。
この曲は「貧乏で金は無いが、必ずスターになれる」と前向きなリリック(歌詞)が特徴で、内容に心打たれます。
自主制作でデビュー前ということもあり、あまり出回ってないかと思うと、実はYouTubeで普通に聴けますので、お時間ある方は調べてみてください。デビューから現在にかけてのEminemのラップの仕方に比べると、だいぶ落ち着いてるというか、ある意味聴きやすいフローですよね。
なんていうか、、、Eminemって、、、とりあえず何かに怒ってるラップするじゃないですか。笑笑
今年(2020年に)に入ってリリースされたアルバム「Music To Murdered By」に収録されている「Godzilla」なんてマジで早口すぎて、もう面白いレベルです。笑
初音源を上げてきたのに、いきなり最新音源貼ってしまってすみません・・・でも是非、早口ラップ聴いてほしいです。(特に2:56くらいから人間離れした高速ラップかましてます。笑)
というわけで、世界的に有名なラッパー5人の初音源をまとめてみました。こうやって見ると、大体がデビュー前にまずは他の有名ラッパーに客演として参加してるケースが多いようですね。
ちょっと5人では物足りない気もするので、またどこかで他の有名ラッパーの初音源特集やっていきたいと思います。
それでは今回はこのへんで。
最後までご覧いただきありがとうございました。